スレートのレーザー彫刻の設定
レーザーはスレートを切るのではなく、石の表面を変えて、暗い面に明るい跡を残します。メーカーが出している出発点の値、LaserGRBL の数字の読み方、むらのない色にするコツをまとめました。
始める前に たいてい可
- スレートは「彫る」材料で、ホビー用のレーザーで切る材料ではありません。ダイオード・CO2・ファイバーの違いの表では、石はダイオードと CO2 で「彫れる」、ファイバーは出典が割れています。
- 天然のスレートは、当サイトが調べた大学やメーカーの禁止の一覧には載っていません(レーザーで加工してはいけない材料)。塗装・印刷・コーティングしたスレートは別の材料です。塗膜が何か分からなければ、レーザーを当てないでください。
- 石を彫ると、粉じんや細かい粒子が出ます。Thunder Laser は排気とフィルターを勧めています。排気を止めずに作業してください(排気ファンの計算機)。
- 囲いの無い機械は Class 4 です。お使いの波長に合った保護メガネを使ってください(保護メガネのチェッカー)。
光が当たると何が起きるか
切り替えると、同じ光でも材料しだいで結果が変わります。
- スレート(天然の石)
- 明るくなった彫り跡
- 油を塗った石(濃くなる)
- 明るくなった彫り跡
光が当たった所だけ、暗い表面が明るい灰色に変わります。深く削るのではなく、色の差で見せる加工です。
断面の模式図で、縮尺は正しくありません。
どのレーザーで加工できるか
当サイトの「ダイオード・CO2・ファイバーの違い」の表から、この材料の行だけを出しています。(表の全体)
石を彫れるとする出典が 2 つ、xTool は自社の小型赤外線モジュールは向かないとしています。
メーカーの設定を 1 つの物差しで見る
どの値もメーカーが公開している出発点で、出典はメーカーです。当サイトで試した値ではありません。機械ごとに光出力が違うので、出力 % と速度を、光が線 1 mm に落とすエネルギー(J/mm)にそろえて並べました。点や表の行を押すと、元の行と計算、換算の計算機へのリンクが出ます。
換算の計算機と同じ式です。同じ種類のレーザーなら、J/mm がそろえば焼け方も近くなります。切断の J/mm は厚さで大きく変わるので、近い厚さの行どうしで比べてください。
AtomStack の表にスレートの行はありません。いちばん近いのは「Rock(石)」で、どの石かは書かれていません。スレートで確かめた値ではなく、メーカーの「石」の出発点として見てください。どの行も彫刻です。LightBurn の行は出力が %、LaserGRBL の行は S 値(S 最大が 1000 なら S700 = 70 %)で、「Quality」は 1 mm あたりの本数(10 = 0.1 mm)です。
| 機種(光出力) | ソフト | メーカーの表記・厚さ | 加工 | 速度 mm/min | 出力 | 線の間隔 | パス | J/mm | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| LightBurn | Rock | 彫刻 | 5,000 | 70% | 0.1 | 1 | 0.084 | 換算へ → | |
| LaserGRBL | Rock | 彫刻 | 5,000 | S700 | 0.1 | 1 | 0.084 | 換算へ → | |
| LightBurn | Rock | 彫刻 | 10,000 | 80% | 0.08 | 1 | 0.096 | 換算へ → | |
| LaserGRBL | Rock | 彫刻 | 10,000 | S600 | 0.0833 | 1 | 0.072 | 換算へ → | |
| LightBurn | Rock | 彫刻 | 25,000 | 80% | 0.1 | 1 | 0.0461 | 換算へ → | |
| LaserGRBL | Rock | 彫刻 | 25,000 | S800 | 0.1 | 1 | 0.0461 | 換算へ → | |
| LightBurn | Rock | 彫刻 | 25,000 | 80% | 0.1 | 1 | 0.0461 | 換算へ → | |
| LaserGRBL | Rock | 彫刻 | 25,000 | S800 | 0.1 | 1 | 0.0461 | 換算へ → | |
| LightBurn | Rock | 彫刻 | 10,000 | 70% | 0.1 | 1 | 0.202 | 換算へ → | |
| LaserGRBL | Rock | 彫刻 | 10,000 | 70% | 0.1 | 1 | 0.202 | 換算へ → | |
| LightBurn | Rock | 彫刻 | 10,000 | 60% | 0.08 | 1 | 0.252 | 換算へ → | |
| LaserGRBL | Rock | 彫刻 | 10,000 | S600 | 0.0833 | 1 | 0.252 | 換算へ → | |
| Bitmap | Rock | 彫刻 | 18,000 | 30% | 0.05 | 1 | 0.055 | 換算へ → | |
| Vector Line | Rock | 彫刻 | 3,500 | 15% | — | 1 | 0.141 | 換算へ → | |
| Bitmap | Rock | 彫刻 | 10,000 | 80% | 0.01 | 1 | 0.0058 | 換算へ → | |
| Vector Line | Rock | 彫刻 | 500 | 70% | — | 1 | 0.101 | 換算へ → | |
| Bitmap | Rock | 彫刻 | 6,000 | 80% | 0.08 | 1 | 0.04 | 換算へ → | |
| Vector Line | Rock | 彫刻 | 1,000 | 30% | — | 1 | 0.09 | 換算へ → | |
| Bitmap | Rock | 彫刻 | 15,000 | 80% | 0.1 | 1 | 0.064 | 換算へ → | |
| Vector Line | Rock | 彫刻 | 1,000 | 20% | — | 1 | 0.24 | 換算へ → | |
| Bitmap | Rock | 彫刻 | 5,000 | 80% | 0.01 | 1 | 0.0115 | 換算へ → | |
| Vector Line | Rock | 彫刻 | 500 | 80% | — | 1 | 0.115 | 換算へ → |
スレートが白っぽくなる理由
レーザーは石の表面を変え、暗いスレートに明るい跡を残します(Thunder Laser)。だから、色が濃く表面がなめらかなスレートほどくっきり出ます。「深く彫る」ほど良くなるわけでもありません。表面が明るくなったあとは、エネルギーを足しても粉じんが増え、ざらついてむらのある跡になりやすくなります。
スレートは天然の石です。同じ箱のコースターでも、色・平らさ・層のはがれ方が 1 枚ずつ違います。ある 1 枚でちょうどよい設定が、次の 1 枚ではむらに見えることがあります。いちばん難しいのは写真で、文字や線画はずっと失敗しにくい題材です。
LaserGRBL でのスレートの設定の読み方
LaserGRBL は % を使いません。出力は S 値で、白い画素に使う S-MIN と黒い画素に使う S-MAX の間で決まります。目盛りのいちばん上はコントローラーの最大値で、LaserGRBL の説明では 1000 の基板も 255 の基板もあるとしています。コンソールで $30 を確かめてください。AtomStack の値(Rock で S600〜S800)は 1000 が前提です。
画像の取り込みの「Quality」は 1 mm あたりの線の本数です(開発者の説明)。10 なら線の間隔は 0.1 mm、12 なら約 0.083 mm です。速度は mm/min。LightBurn の行を LaserGRBL に直すときは、S-MAX = 出力 % × $30 ÷ 100、Quality = 1 ÷ 線の間隔です。DPI との換算は線間隔・DPI の計算機でできます。
下ごしらえと仕上げ
- 汚れを落として乾かす。彫る前にぬれた布でふき、乾かしてから彫ります(Thunder Laser)。
- 平らか確かめる。割って作ったスレートは、機械で平らに削ってありません。彫る面で焦点を合わせ、大きな板では複数の角で焦点を確かめてください。
- 油は先か後か。使う人の間でも分かれます。先にミネラルオイルを少し塗る人もいれば、仕上がりのむらをならすために後から塗る人もいます(LightBurn のフォーラム)。どちらでも彫っていない面は濃くなるので、裏で試してください。
- 屋外に置くなら保護剤。Thunder Laser は、屋外や手でよく触る物には、つや消しか半つやの透明な保護剤を勧めています。先に小さな所で試してください。
スレートでのテストのやり方
よくある質問
- スレートに合うレーザーの設定は?
- 決まった 1 つの答えはありませんが、メーカーが出発点の値を出しています。AtomStack にスレートの行は無く、「Rock(石)」の行は、速度 5,000〜25,000 mm/min・出力 60〜80 %(ダイオード機)・線の間隔 0.08〜0.1 mm で、線 1 mm あたり約 0.04〜0.25 J です。お使いの機械に近い行を出力・速度の換算で直してから、テストグリッドを焼いてください。
- LaserGRBL ではスレートにどう設定しますか?
- AtomStack の LaserGRBL の「Rock」の行は、S600〜S800、5,000〜25,000 mm/min、Quality 10〜12 本/mm です。S 値は最大 1000 が前提なので、まず $30 を確かめてください。最大が 255 の基板なら、% に 2.55 を掛けます。Quality 10 は線の間隔 0.1 mm です。
- ダイオードレーザーでスレートは切れますか?
- 当サイトが使う出典で、ホビー用のダイオードや CO2 で石やスレートを「切れる」としたものはありません。どちらも「彫れる」としています。形に切ってあるスレートを買い、表面を彫ってください。
- スレートの彫り跡がむらになるのはなぜ?
- 多くは石そのもの、焦点、エネルギーの出しすぎのどれかです。天然の石は 1 枚ずつ違い、割って作ったスレートは平らではありません。焼きすぎると、ざらついたむらのある跡になります。汚れを落として乾かし、焦点を確かめ、色がそろうまでエネルギーを下げ、仕上げに油を試してください。
出典
- AtomStack, Material Setting (LightBurn, LaserGRBL and machine tables)
- AtomStack blog, Laser engraver settings guide: official starting points and a safer test method
- Thunder Laser, Laser engraving and cutting slate guide
- LightBurn forum, How to engrave a photo onto slate
- LaserGRBL, Target image size and laser options (S-MIN / S-MAX)
- LaserGRBL GitHub issue #30, raster resolution in lines per mm
- LightBurn documentation, Material Test
レーザーの種類の可否の出典
- xTool, Fiber vs CO2 vs Diode Laser: Differences Explained
- xTool Support, xTool F1 Product Introduction
- Atomm (xTool community), Materials for xTool S1
- Glowforge Aura (diode) product page
- Glowforge Performance Series tech specs (CO2)
- OMTech, Diode vs CO2 vs Fiber Lasers
- University of Georgia, Laser Cutter Materials List (CO2)
- xTool Support, Material Tests with the 1064 nm Infrared Module
最終確認 2026-11-01・メーカーの値と計算です。当サイトでこの材料を加工したわけではありません。