計算機・ホビー CNC

V ビットの深さとボールエンドの削り跡の計算

決まった幅の線を V ビットで彫ると何 mm の深さになるか、Flat Depth と Start Depth で彫りがどう変わるか、文字を彫るとどう見えるかを出します。ボールエンドで仕上げたときにパスの間に残る山の高さも、髪の毛と並べて見られます。

1V ビット

刃の角度(全角)
V の開きの全体の角度です。片側の角度(中心線から刃先の面まで)で書かれた刃もあるので、その場合は 2 倍にします。
先がとがった刃は 0。彫刻用の刃には先が少し平らなものがあります。

2彫る線

彫る深さに上限を付けます。それより広い所は底が平らになります(Vectric)。
ふつうは 0。Vectric ではポケットの底に V 彫りするときに使います。
深さ
3mm
表面から · 0.1181 in
表面での幅
6mm
0.2362 in
幅 1 mm あたりの深さ
0.5mm
1 ÷ (2 × tan 45°)
平らな底
なし

3文字の V 彫りのプレビュー

上から見た図:それぞれの点は、V が入る深さまで彫られます(いちばん近いふちまでの距離 ÷ tan(角度 ÷ 2))。下は橙の線に沿った断面です(薄すぎて見えないときは、表示した倍率だけ深さを伸ばしています)。橙は Flat Depth の底、赤は先端の平らな幅より細い所です。

4ボールエンドの仕上げ

分かっているもの
削り跡の高さ
0.0198mm
19.8 µm
ステップオーバー
0.5mm
15.7 % (直径に対して)
幅 100 mm のパス数
201
両端のパスを含む

ステップオーバーを半分にすると削り跡はおよそ 4 分の 1 になりますが、パス数と時間は 2 倍になります。

式

V ビットの深さ =(幅 − 先端の平らな幅)÷ 2 ÷ tan(角度 ÷ 2)・幅 = 先端の平らな幅 + 2 × 深さ × tan(角度 ÷ 2)
幅 1 mm あたりの深さ:30° ≈ 1.866・60° ≈ 0.866・90° = 0.5・120° ≈ 0.289
Start Depth が S のとき:表面での幅 = 幅 + 2 × S × tan(角度 ÷ 2)
ボールエンドの削り跡 h = R − √(R² −(s ÷ 2)²)・ステップオーバー s = 2√(h ×(D − h))

角度は刃の全角です。V ビットの式は Easel の掲示板に書かれているもの(幅 = 2 × 深さ × tan(A/2))で、先が平らな刃は、その幅を先に引いて同じ幾何で扱っています(当サイトの扱い)。削り跡の式は、Modern Machine Shop のボールエンドの記事と同じ円の幾何で、ステップオーバーだけ離れた 2 本のパスの間に山が残ります。

tan は掛けずに割る

掲示板では、V 彫りの式が逆さまに書かれていることがよくあります。幅の半分に tan(角度 ÷ 2)を掛けると、60° の刃で幅 6 mm の線が、本当は 5.2 mm の深さなのに 1.7 mm と出てしまいます。確かめ方は簡単ですが、90° の刃では確かめられません。tan 45° = 1 なので、正しい式でも逆さまの式でも同じ答えになるからです。30° か 60° の刃で試し、角度の狭い刃ほど 90° より深く彫れるか見てください。逆さまの式だと浅く出ます。同じ Easel の話題にはもう 1 つ落とし穴があり、片側の角度(中心線から刃の面まで)で売られている刃があります。「30°」の刃が全角で 60° のこともあります。

V 彫りのソフトは深さをどう使うか

V 彫りでは、図柄が広い所では刃が深く入り、線が細くとがる所では表面まで上がってきます。だから 1 本の刃で太い線にも細いひげにもなります。Vectric の説明書もそう書いています。Flat Depth は深さの上限で、広い所は底が平らになり、底をさらうエンドミルを足すと速く終わります。Start Depth は彫りを計算する高さで、Vectric ではポケットの底に V 彫りするために使います。平らな板でうっかり入れると、計算機のとおり、すべての線が表面で太くなります。Easel でも、最大の深さは上限として働き、細い線は深さの設定にかかわらず幅の分しか彫れない、と使う人が書いています。

ボールエンドのステップオーバーと削り跡

ボールエンドで仕上げると、となりのパスとの間に小さな山(削り跡)が残ります。高さはボールの半径とステップオーバーで決まり、ステップオーバーを狭めると急に小さくなります。半分にすると約 4 分の 1 ですが、パス数は 2 倍です。大きさの目安として、髪の毛は 17〜181 µm、コピー用紙は 0.05〜0.10 mm。1/8" のボールで 0.5 mm のステップオーバーなら約 20 µm です。

刃の送り速度は CNC のチップロードと送り速度の計算で出せます。ほかの計算機は道具の一覧にあります。

彫る前に:いちばん深い所が板の厚さと刃の切れ刃の長さに十分収まっているか確かめ、一度は空中か端材で動かし、保護メガネを付けて、機械から離れないでください。

よくある質問

V ビットは、線の幅に対してどれだけ深く彫れる?
深さ =(幅 ÷ 2)÷ tan(角度 ÷ 2)で、角度は刃の全角です。幅 1 mm あたり、90° の刃は 0.5 mm、60° は約 0.866 mm、30° は約 1.866 mm 彫れます。90° の刃で幅 6 mm の線なら深さ 3 mm です。
V 彫りの深さは tan を掛ける?割る?
割ります。幅 = 2 × 深さ × tan(角度 ÷ 2)なので、深さ = 幅 ÷(2 × tan(角度 ÷ 2))です。tan を掛けると、90° の刃以外はすべて間違った答えになります。90° では tan 45° = 1 なので掛けても割っても同じになり、90° の刃で試しても間違いに気づけません。刃の角度が全角か片側の角度かも確かめてください。
V 彫りの Flat Depth は何をする?
V ビットの深さに上限を付けます。細い所はそのまま V 字に彫り、広い所は上限に届いて底が平らになります。Vectric では、その底をさらうためにエンドミルなどの刃を足せます。足さなければ V ビットが自分で底をさらいます。
ボールエンドの仕上げのステップオーバーはどう決める?
許せる削り跡の高さ h を決めて、ステップオーバー s = 2√(h ×(D − h))で出します。1/8" のボールエンドなら、0.5 mm のステップオーバーで削り跡は約 0.02 mm と、たいていの髪の毛より薄くなります。ステップオーバーを半分にすると削り跡は約 4 分の 1 になりますが、パス数は 2 倍です。

出典

確認日 2026-11-01・計算による値です。このページを作るのに CNC は使っていません。